定期予防接種は感染症から子どもたちを守るために国が実施する重要な公衆衛生施策です。
各ワクチンは科学的根拠に基づいて開発され、重篤な感染症の発症予防や症状軽減に大きな効果を発揮します。
小児医療の分野においても豊富な経験を有しており、安全で確実な予防接種を提供しています。
予防接種により獲得される免疫は、個人の健康を守るだけでなく、地域全体の感染症流行を防ぐ集団免疫の形成にも寄与します。
適切な時期に正しい方法で接種することで、最大の予防効果が期待できます。
お子様の予防接種に関するご相談やご質問がございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
実施している定期予防接種
- 5種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ・Hib)
- 小児肺炎球菌ワクチン
- B型肝炎ワクチン
- ロタウイルスワクチン
- 麻疹・風疹混合ワクチン(MR)
- 水痘ワクチン
- おたふくかぜワクチン
- 2種混合ワクチン
- 日本脳炎ワクチン
- HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン
- 各種追加接種・補強接種
- 接種スケジュール相談
- 母子健康手帳記録管理
- 接種後の健康観察 など
5種混合
5種混合ワクチンは従来の4種混合ワクチンにHib(ヒブ)ワクチンを加えた新しいワクチンで、一回の接種で5つの感染症を同時に予防できます。
ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、Hibによる髄膜炎という重篤な感染症から乳幼児を守る重要なワクチンです。
接種回数の減少により、お子様と保護者の負担軽減が図られます。
生後2か月から接種開始が可能で、初回接種3回と追加接種1回の計4回接種を行います。
百日咳は乳児期に感染すると重篤な合併症を起こす可能性が高く、早期の予防接種開始が重要です。
破傷風は外傷時の感染リスクがあり、ポリオは麻痺を残す可能性のある感染症のため、確実な免疫獲得が必要です。
接種間隔は初回接種では20日以上の間隔をあけて3回、追加接種は初回接種終了後6か月以上の間隔をあけて1回実施します。
他のワクチンとの同時接種も可能で、効率的な予防接種スケジュールを組むことができます。
小児肺炎球菌
小児肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌による重篤な感染症を予防するワクチンです。
肺炎球菌は髄膜炎、敗血症、肺炎などの侵襲性感染症を引き起こし、特に2歳未満の乳幼児では重篤化しやすい特徴があります。
ワクチン接種により、これらの感染症の発症率を大幅に減少させることができます。
生後2か月から接種開始が推奨され、初回接種3回と追加接種1回の計4回接種を行います。
接種開始年齢により接種回数が異なるため、早期の接種開始が望ましいとされています。
13価肺炎球菌結合型ワクチンを使用し、主要な肺炎球菌血清型に対する免疫を獲得します。
接種後は軽微な発熱や接種部位の腫れが見られることがありますが、重篤な副反応は稀です。
他のワクチンとの同時接種により効率的な予防接種が可能で、乳児期の重要な感染症予防対策として位置づけられています。
B型肝炎
B型肝炎ワクチンは慢性肝炎、肝硬変、肝がんの原因となるB型肝炎ウイルス感染を予防するワクチンです。
B型肝炎は血液や体液を介して感染し、特に周産期感染や乳幼児期の感染では慢性化しやすく、将来的な肝疾患のリスクが高くなります。
ワクチン接種により確実な免疫獲得が可能です。
生後2か月から接種開始が可能で、計3回の接種を行います。
接種間隔は初回接種から4週間以上あけて2回目、初回接種から20~24週間あけて3回目を実施します。
母親がB型肝炎ウイルス陽性の場合は、出生直後から特別な接種スケジュールで実施されます。
ワクチンの効果は長期間持続し、成人期まで免疫が維持されることが確認されています。
副反応は軽微で、接種部位の発赤や腫脹程度です。
将来的な肝疾患予防のため、確実な接種完了が重要とされています。
ロタウイルス
ロタウイルスワクチンは乳幼児の重篤な胃腸炎を予防する経口生ワクチンです。
ロタウイルス胃腸炎は激しい下痢と嘔吐を特徴とし、脱水症状により入院が必要となることが多い疾患です。
ワクチン接種により重症化を予防し、入院率を大幅に減少させることができます。
生後6週から接種開始が可能で、4週間隔で2回または3回の経口投与を行います。
使用するワクチンにより接種回数が異なりますが、いずれも生後24週または32週までに接種を完了する必要があります。
経口投与のため注射による痛みがなく、乳児にとって負担の少ないワクチンです。
接種後は軽度の下痢や嘔吐が見られることがありますが、多くは軽微で自然に改善します。
腸重積症の発症リスクがわずかに増加するとされていますが、ロタウイルス胃腸炎による重篤な合併症を予防する利益の方が大きいと評価されています。
麻疹・風疹
麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)は麻疹と風疹の2つの感染症を同時に予防する生ワクチンです。
麻疹は高熱と発疹を特徴とし、肺炎や脳炎などの重篤な合併症を起こす可能性があります。
風疹は妊娠初期の女性が感染すると先天性風疹症候群を引き起こすリスクがあり、社会全体での免疫獲得が重要です。
1期は生後12か月から24か月未満、2期は小学校入学前の1年間に接種を行います。
2回接種により確実な免疫獲得が可能で、長期間にわたって感染を予防できます。
集団免疫の維持により、これらの感染症の流行を防ぐことができます。
接種後1~2週間頃に軽度の発熱や発疹が見られることがありますが、これは免疫反応の現れで心配ありません。
妊娠可能年齢の女性では接種後2か月間の避妊が必要ですが、小児期の接種では特別な制限はありません。
水痘
水痘ワクチンは水ぼうそうを予防する生ワクチンです。
水痘は感染力が非常に強く、発疹と発熱を特徴とする疾患で、合併症として細菌の二次感染、肺炎、脳炎などを起こすことがあります。
免疫不全者では重篤化する可能性が高く、ワクチンによる予防が重要です。
生後12か月から36か月未満に2回接種を行います。
1回目接種から3か月以上の間隔をあけて2回目を接種することで、より確実な免疫獲得が可能です。
2回接種により水痘の発症を約95%予防でき、発症しても軽症化する効果があります。
接種後2~3週間頃に軽度の発疹や発熱が見られることがありますが、自然水痘と比較して症状は軽微です。
帯状疱疹の予防効果もあり、生涯にわたる健康利益が期待できます。
保育園や幼稚園での集団感染予防にも重要な役割を果たしています。
おたふく
おたふくかぜワクチンは流行性耳下腺炎を予防する生ワクチンです。
おたふくかぜは耳下腺の腫脹と疼痛を特徴とし、髄膜炎、難聴、精巣炎などの合併症を起こすことがあります。
特に思春期以降の男性では精巣炎による不妊のリスクがあり、小児期での予防接種が重要です。
生後12か月以降に2回接種を行います。
1回目接種から4週間以上の間隔をあけて2回目を接種することで、確実な免疫獲得が可能です。
現在は任意接種ですが、合併症予防の観点から接種が強く推奨されています。
接種後2~3週間頃に軽度の耳下腺腫脹や発熱が見られることがありますが、自然感染と比較して症状は軽微です。
無菌性髄膜炎の発症リスクは自然感染より大幅に低く、安全で効果的なワクチンとして評価されています。
2種混合ワクチン
2種混合ワクチン(DT)はジフテリアと破傷風を予防する不活化ワクチンです。
乳幼児期に接種した5種混合ワクチンまたは4種混合ワクチンで獲得した免疫を、学童期に補強することで長期的な予防効果を維持します。
標準的には11歳から13歳未満(小学6年生)に1回接種を行います。
ジフテリアと破傷風に対する基礎免疫は乳幼児期の予防接種で獲得されていますが、時間経過とともに免疫が低下するため、この時期に追加接種を行うことで抗体価を上昇させ、成人期まで免疫を維持します。
接種後は軽度の発赤や腫脹が見られることがありますが、通常は数日で自然に改善します。
破傷風は土壌中の菌による感染症で外傷時のリスクがあり、ジフテリアは飛沫感染する重篤な感染症であるため、確実な追加接種が重要です。
日本脳炎
日本脳炎ワクチンは蚊を媒介とする日本脳炎ウイルス感染を予防する不活化ワクチンです。
日本脳炎は急性脳炎を引き起こし、重篤な神経症状や後遺症を残す可能性がある感染症です。
致死率は高く、生存しても神経学的後遺症を残すことが多いため、確実な予防が重要です。
標準的には3歳から初回接種を開始し、1~4週間隔で2回、その後約1年の間隔をあけて1回の計3回接種を行います。
さらに9~12歳で追加接種を1回実施し、長期間の免疫維持を図ります。
地域の流行状況により接種開始時期が調整される場合があります。
接種後は軽度の発熱や接種部位の発赤が見られることがありますが、重篤な副反応は稀です。
豚での日本脳炎ウイルス感染が確認された地域では、より早期の接種開始が推奨される場合があります。
HPV
HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは子宮頸がんや尖圭コンジローマの原因となるHPV感染を予防するワクチンです。
子宮頸がんの多くはHPV感染が原因で発症し、定期的な検診と併せてワクチン接種により効果的な予防が可能です。
近年は男性への接種も推奨されています。
小学6年生から高校1年生相当の女子を対象とし、6か月間で3回接種を行います。
2価、4価、9価ワクチンがあり、それぞれ予防できるHPV型が異なります。
接種開始年齢が若いほど免疫反応が良好で、性交渉開始前の接種により最大の予防効果が期待できます。
接種後は接種部位の疼痛や腫脹が比較的高頻度で見られますが、数日で改善します。
まれに失神することがあるため、接種後は安静にして様子を観察します。
長期的な安全性も確認されており、子宮頸がん予防の重要な手段として位置づけられています。