小児健診の目的
乳児期は、わずか数か月の間に姿勢や運動、食事、睡眠の様子が大きく変化します。
6〜7か月と9〜10か月の健診は、この変化を客観的に確認する大切な機会です。
普段の育児では気づきにくい体の状態や発達の様子を医師が確認し、気になる点があれば今後の関わり方についてご説明します。
、健診の場で得られる情報が、日々の子育ての手掛かりにもなります。
健診は単に異常を見つけるための場ではなく、赤ちゃんの成長を確認し、保護者の方が抱える疑問や心配事にお答えする機会でもあります。
子育ては育児書どおりにいくわけではありません。
日々の不安を軽くして、赤ちゃんのそれぞれの成長を理解しながら、子育ての手がかりを見つけることも、健診の大事な役割です。
6〜7か月健診で確認すること
身体の成長
健診では、まず身長・体重・頭囲の測定を行い、成長曲線を確認します。
成長曲線は個人差が大きく、必ずしも平均値に沿う必要はありません。
大切なのは、その子なりのペースで成長しているかです。
身長、体重、頭囲とのバランスや哺乳や離乳食の様子も含めて、総合的に判断します。
運動の発達
運動面では、寝返り、またはその前段階の体のひねりが出ているか、おすわりの進み具合を観察します。
おすわりはまだ不安定であることが多い時期ですが、支えなしで座れるようになる時期は個人によって差がありますので、焦らずに見守ることが大切です。
手の使い方と探索行動
この時期の赤ちゃんは、物をつかんで振る、両手で持ち替える、口に運ぶといった行動を通じて世界を学んでいきます。
健診では、おもちゃへの興味の示し方や、視線が物を追う様子、手を伸ばそうとする動きなどを観察します。
何でも口に入れる行動は、この時期の赤ちゃんにとって自然な探索活動です。
誤飲の危険がないよう注意しながら、温かく見守ることが大切です。
離乳食の進め方
6〜7か月ごろになると1日1回から2回の離乳食に進む家庭も多く、食材の種類も増えてきます。
健診では、最近の離乳食の様子や気になることについて話を聞きながら、無理のない進め方を確認していきます。
食べる量や好みは赤ちゃんによってさまざまであり、食べムラや好き嫌いも珍しいものではありません。
工夫しながら赤ちゃんに合った方法を見つけていきましょう。
生活リズムと睡眠
日中の活動が増えて夜まとまって眠るようになる赤ちゃんもいれば、夜中何回も起きる赤ちゃんもいます。
睡眠リズムには個人差があり、すべての赤ちゃんが同じパターンで眠るわけではありません。
家庭の生活スタイルも踏まえながら、少しずつリズムを整えていけるようにします
歯の生え始め
初めての歯が生えてくるのもこの時期です。
歯の生え方にも個人差があるため、まだ生えていなくても異常とは限りません。
歯が生え始めると、よだれが増えたり、機嫌が悪くなったりすることがあります。
これは歯ぐきがむずがゆいことによる自然な反応です。
口腔ケアは、清潔なガーゼで歯ぐきを優しく拭くことから始め、徐々に歯磨きの習慣につなげていきます。
9〜10か月健診で確認すること
運動の発達
おすわりが安定してくることで、両手を自由に使いながら遊ぶことが増えます。
ずりばやハイハイをしはじめたか確認します。
つかまり立ちを始める子もいますが、まだできていなくても心配する必要はありません。
その子のペースで発達が進んでいるかを見ていきます。
お子さんのできることや行動範囲が広がるため、家庭内の安全対策も大切になってきます。
手先の細かい動き
指先の使い方が上手なり、親指と人差し指で小さな物をつまむ動作が見られるようになります。
健診では、小さなおもちゃなどを使って、手の動きの様子を確認します
こころの発達
精神面・社会性の発達も大きく進みます。
人見知りや後追い、喃語、名前を呼ばれた方向を向くなどの様子がみられるようになります。
人見知りは個人差が大きく、あまり見られない子もいれば、家族以外の人には激しく泣く子もいます。
人見知りや後追いは特定の人との愛着関係が作られている証拠であり、健全な発達の表れです。
離乳食の後期への移行
9〜10か月は離乳食が後期に入り、1日3回になってくる時期です。
手づかみで食べようとする様子もみられるようになります。
手づかみ食べは、自分で食べる意欲を育てるとともに、口に運ぶ動作を通じて目と手の協調運動も発達します。
周りが汚れてもいい環境を整えて、見守ってあげてください。
生活リズムと睡眠の変化
生活リズムは徐々に安定していくものの、夜泣きが増える時期でもあります睡眠が不安定になることもありますが、一時的な変化であることがほとんどです。
歯の成長
上の前歯が生えてくる子が増えてきます。
歯の本数が左右で異なることもありますが、多くの場合は様子をみていけば問題ありません。
歯の数が増えてくると、歯磨きの習慣づけが始まります。
最初は嫌がるかもしれませんが、遊びの延長として楽しい雰囲気で行うとよいでしょう。
健診で確認することがある症状
健診の場では、次のような点を確認することがあります。
- 体重の増え方がゆるやかな場合
- 寝返りやおすわりがまったく見られない場合
- むせこみが多い場合
- 便秘や下痢が長く続く場合
- 視線が合いにくい、喃語が少ない、周囲への興味が薄いと感じられる場合
- 体をつっぱっていることが多い、または力が入りにくいと思われる場合
これらは必ずしも異常を意味するものではありません。
が、必要に応じて経過を観察したり、場合によっては検査や専門的な評価が必要になることもあります。
健診後の流れについて
健診はお子さんそれぞれの成長や発達を見守るために行いますが、診察で気になる点があった場合には、必要に応じて経過観察をしたり専門の医療機関にご紹介したりすることがあります。
その場合でも、それはお子さんの様子をしっかり見ていくための対応であり、すぐに病気の診断を意味するものではありません。
もし健診で不安を感じた場合には、小さなことでも遠慮なく医師にご相談ください。
健診は、お子さんそれぞれの成長発達を見守る大切な場です。
お子さんの成長を共に喜び、今後の子育ての疑問や不安を相談できる機会として活用していただければと思います。